書籍紹介―多層のイメージの中の生々しさ 山田耕司さん「不純」

現代アーティスト山口晃さんのスタイリッシュな表紙が目を引きます。

 

目次をみても、

 

ボタンA

身から出たサービス

目隠しは本当に要らないんだな

 

など、トリッキーな印象です。

 

 

挿す肉をゆびと思はば夏蜜柑

肩に乗るだれかの顎や豊の秋

いきんでも羽根は出ぬなり潮干狩

 

もちろん、ただの面白さだけではなくて、生々しい印象が強く残ります。

 

 

いろいろの死んで秋なり白湯に色

名月や背をなぞりゆく人の鼻

糖分は足らぬが初蝶なればまあ

 

 

白湯、名月、初蝶。オーセンティックなワードチョイスと組み合わせる生々しさ。「いろいろの」などど命を雑にまとめてしまうラフさと、白湯に色を見てしまう繊細な描写。

今を生きる、すごくリアルな感触と、伝統的なイメージやビジョンの中をひょこひょこと散歩するような楽しさを感じます。

 

おっぱいに左右がありて次は赤坂

文鳥や用もなく見る野菜室

暗きよりセロリの出たり乳母車

 

用もなく見る野菜室。セロリ、という妙に生々しい感触。

 

 

春それは麦わらを挿す穴ではない

向日葵よ目隠しは本当に要らないんだな

水澄めり君なら月見うどんだらう

 

 

麦わらを挿す穴、向日葵の目隠しなど、抽象的で説明がなされない分、すごくゆるい印象で、等身大のリアリティのようなものを感じます。

何でもない時に、君は月見うどんを頼むだろう・・・と、想像できてしまう人が、身近に何人いるでしょうか。

 

奇をてらったようで、変な組み合わせの様で、実は核心を突いてしまうような何層にも感じ方の広がる魅力的な句集です。

「第6回がたんごとん歌会」

◆2019年4月21日(日)
・14時〜17時 (終了時間は予定)
・参加費:500円 
・お題「です。ます。を詠みこむ」 ※でした。ました。など活用可
・14~17時(予定) ・参加費500円(おやつ、飲み物つき)自由詠 2首まで 

・提出〆切:4/18(日)中
・投稿フォームは→こちら (当日飛び入りの見学も大歓迎!)
 ※上手く動作しない場合、メールや、DMなどでも大丈夫です。

出入り自由。見学、(または詠草なしでの参加)、初心者大歓迎です!
歌会とは・・・皆で、テーマに沿った短歌を持ち寄り、わいわい好きなところや気になった所などを鑑賞しあう会です。
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お題は、前回最多票だったナカヒラカオリさんからのお題です。

最多票だったのは、お二人
三上春海さん

水の向こうの窓の向こうのひとびとのまなこにマリン・スノウはゆれる

ナカヒラカオリさん

サンキャッチャー飾る家々多い中おとなりさんは餃子を吊るす

でした!

サンキャッチャー、そもそもそんなに溢れてるか?餃子?など、圧倒的なインパクトで注目の作品でした。おとなりさん、という距離感が良い。これは、餃子じゃないと成立しない!など熱い(?)議論が交わされました。

初めての方でも、見学だけでも。お気軽においでください!
たくさんの方に、歌会の楽しさ、短歌の面白さが伝われば幸いです。

みなさまのご来場、お待ちしております。

踏み入れたら戻れない、奥深くの世界へー北大路翼さん『生き抜くための俳句塾』

北大路翼さん、話題の俳句入門書です!

奇を衒ったように見える表紙ですが、むしろ、王道を行く俳句論、芸術論の本ではないかと思います。

はじめにーより

「「え?なに?俳句?俳句って年寄りの趣味でしょ。難しくてわかんなーい」

馬鹿野郎!!

俳句は俺が知る限り一番ヤバイ「遊び」だ。」

とあります。

「心を取り戻せ」

俳句の入門書に、「感じたことをそのまま写し取りましょう」と記載されている事に対しては、

「お前らは感動の仕方がわからないんだ」と、喝破。

「俳句は大人の遊びだ」「俺は酒、博打、女の順に覚えた」

など、国語の教科書的な文学のイメージからしたら、無茶苦茶な事を言っているように感じるかも知れません。

しかし、この無骨な姿勢、社会に対する反骨心は、伝統的な姿でもあるように思います。

正岡子規は、『歌よみに与ふる書』で三十六歌仙の紀貫之を批判する事から始め、『芭蕉雑談』で芭蕉の批判をして、和歌を短歌に、俳諧を俳句に革新しました。

尾崎放哉や種田山頭火、若山牧水、中原中也、太宰治、この本にも出てくるけれど、酒や女で有名な文豪は多い。千利休だって、将軍に逆らって切腹させられている。

また、世間的に言われるアートと同様に、時代に抗いながら、戦争や前衛、アバンギャルドを経て現在まで文学が続いて来た事は、少し詳しい方ならご存知かと思います。

「え?なに?俳句?俳句って年寄りの趣味でしょ。難しくてわかんなーい」

馬鹿野郎!!」

に尽きる訳です。

北大路さんの実際に行なっている、フランクで、ざっくばらん、でも実直に感じた事を言い合う句会のやり方や、北大路さんの選ぶ名句(どれも、かっこいい!)

悩み相談コーナーまであり、人生に、俳句が具体的に作用する事を教えてくれます。

「つまらんことで悩むな。つまらんことに惑わされるな。自分で価値を決めるのが芸術であり、俳句なんだよ。」

上品なお稽古ではなく、核心へ突撃する勇気のある方にとって、最短距離の入門書かと思います!

詩情と暮らし 展 ーヒシガタ文庫さんにて

職人の吉田が、東区のヒシガタ文庫さんにて、展示会を行います。

通常のアトリエとは、少し違う姿をお見せ出来るかと思います。

皆様のご来場、お待ちしております。

中津箒・吉田慎司 「詩情と暮らし 展」

2019年4月20日(土)- 5月6日(日)
10:00-22:00

ヒシガタ文庫

神奈川県で明治時代より作られている中津箒。無農薬の素材と
手仕事による優れた道具でありながら、暮らしに彩りを添える
魅力があります。セレクトされた、詩歌の本と共に展示されます。

-4/28(日)ワークショップ「豆ほうきを作る。」-
15cmほどの、筒形のほうきを制作します。
時間:①10:30〜 ②13:00〜 ③15:00〜
参加費:2000円 各回4名、所要時間1時間
・ご予約はヒシガタ文庫にて
http://hishigatabunko.com

〒065-0025
北海道札幌市東区北25条東8丁目2-1(ダイヤ書房内)ヒシガタ文庫