先日の歌会

ご参加戴いた皆さま、ありがとうございました!

初参加、見学の方も多く、フレッシュな会となりました。高校生、小学生まで…!(若い…)

最多票は、辻廣花蓮さん

ソーダバー半分こしたよね君の電話番号は知らないけれど

でした。ソーダバー、電話番号など、背景や思い出だけで盛り上がるパワーワード。単語自体もノスタルジックでありながら、「けれど」の前を回想する構造も効果的なレイヤーだったように思います。ネット社会の現代、電話番号を知る、という価値がさらに高まっている、という話もありました。

次回は2月頃?開催予定!

次回のお題はテーマ詠「空港」です!

皆さまのご参加お待ちしております~!

書籍紹介ー多様さと悦び『架空線』

架空線、とは、電柱などの間に渡してある線の事。ただ、内容から考えて、空中に架ける。ではなくフィクションの意味の架空でもある事が推測出来る。〜線という言葉には、相対性理論において世界線(四次元空間でのある質点の移動の軌跡・アニメなどではパラレルワールドの時間の事などつ使われたりもしている)、放射線、宇宙線など、色々とあって、なかなか像を結ばせない、手強いタイトルだと思う。

実際歌集を読んで見ても、歌の魅力に引き込まれつつも、何とも像を結ばせない絶妙なバランスを保ちながら連作が展開されていく。

「川と橋」では

「二月一日。新三崎防災船着場から舟に乗り込み、日本橋川を下る。」

という具体的な詞書から

同じ冬に乗り合はせつつわたしたちてんで勝手に川をみたがる

などの浮き足立った光景を描きつつ、

「みな出て橋をいただく霜路哉 芭蕉」

という詞書に、

笠の人びつしり載せて揺れゐたり江戸時代とふ長い長い橋

など、空想から、歴史を俯瞰している歌などが川下りの描写から展開される。

「二〇一一年、聖橋のライトアップが中止されたときは心細かつた。灯れば良いというふものではないが、」

夜の淵にへばりつくとき脚のある亡霊だつた橋もわたしも

など、実景と、歴史と、個人史が並列して川下りの思考を追体験させるような、トリッキーな構造であるように思う。

「脱ぐと皮ー爬虫類カフェ訪問前後」

より

心かつ踵かつかつハイヒール履けばこの世はいよいよ硬し

この床は亀がゆくから滑り止め施してある ゆきなさい亀

など、のユーモラスさも魅力。

アルファベット順の単語(astronomy,element,fairyなど)を詞書につくられた連作「コレクション」。

「南極点へ」という、具体的な座標と共に南極点を目指す連作(恐らく体験談ではないと思うのだけれど)

「声ー『予告された殺人の記録』より」

は、(おそらく架空の)殺人事件の周囲の人々の証言をまとめた連作。

など、仕掛けの多様性にも、かなり目を見張るものがあってページをめくるごとに、今度はどう来るのか…?という愉しみがある。

「朗らか」など、何気ない日常を明るく描写した作品もある。作品の構造にはかなりのバリエーションがあるけれど、何故か欲を感じないように思う。

ユーモラスさを折り込めばどこかにドヤ顔が見えたり、トリッキーなものであればかっこつけた顔が見えたり、美しい作風にだって多くは自己愛が見えたりするものだけれど、全然そういういやらしさを感じる事がない。

文語、細やかな描写、複雑な手口、ユーモア。色々な球を投げてきて、作品のアウトラインを固定させない所があって、どこを向いているんだろう。とも思う。結局、読んでめちゃくちゃに翻弄されて、正に架空線のように空中に投げ出された時、手元に残ったのは歌の純粋さ、だと思った。様々な文脈を解体して、様々な方法の中で見つけ出せる共通点は、とにかく短歌の可能性を飽くことなく掘り続けていること。(おそらく)それ自体を、可能性に満ちた短歌がある事をすごく楽しんでいること。その探検を、読者に共有してくれている。という感想を持ちました。

活版、展示会、朗読、アウトプットも様々に展開する歌人ならでは、多様さ故に、見える圧倒的な一貫性も感じる作品だと思います。貴重な展示会も併せて、是非是非ご覧戴きたいです。(よ)

『架空線、線ーーー』展、開催中

11/24まで、石川美南さんの歌集刊行記念の巡回展『架空線、線ーーー』の展示会を開催しています。

以前より、お問い合わせがありましたが切らしていた「物語集」「遠い鳥」なども入荷しています!

絶版の『砂の降る教室』『裏島』『離れ島』も閲覧可能です!

装画の尾田美樹さんの、貴重なスケッチの記録。

尾田さんの版画作品も購入できます!

石川さん、装幀の花山さんお勧めの歌集。推薦コメント付きで販売中!(手書きのものもあります。)

貴重な本も幾つか。欲しい…

花山周子さんの手掛けた歌集をまとめて見られるのも貴重かと思います!

自選10種のリーフレットも配布中。

架空線本体に、手書きで一首と、裏話などの栞が挟んであるのも、素敵です。パラパラ、全部見ちゃう。

尾田美樹さんの銅版画の蔵書票も購入できます。本物の、蔵書票!一枚一枚、表情が違って素敵です。

『架空線』刊行記念とはいえ、単体でも楽しめる企画が盛りだくさん!皆様のご来場、お待ちしております〜!!

【次回歌会のお知らせ】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すっかり遅くなってしまいました。11月末に、歌会開催予定です!

申し込みはこちら、またはメールなどでお問い合わせください。
https://forms.gle/Gs5oUNhz5FCit6AC9

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日程:2019/11/24(日)
時間 14:00〜17:00(予定)
参加費500円(簡単なお菓子・飲物つき)
お題:「ンゴ」読み込み必須 (ひらがな、漢字、英語、表記は自由)
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初心者、見学、大歓迎!
歌会の楽しさを知ってもらう機会になれば、嬉しいです。
懇親会も、ある予定です。

皆様のご参加、お待ちしております~!!

にしむらあきこ展「紙の韻律」

いよいよ、待っていた展示会が始まりました。にしむらあきこさんの展示会です。

和紙や、紙漉で作れられた造形、作品が並びます。紙箱、手帳、ブローチ、モビール…「恋の爪先」「雨の日のおたのしみ」「つもるひと」など、作品のタイトルが詩的なのも特徴的です。

かわいらしい造形、色彩、和紙ならではの奥行のあるテクスチャと深みが魅力です。

全体を見てみると、

『きこえる?』

『げっぷのうた』

『オノマトペのうた』

『ねこの国』

『夜の耳』

など、音に関わる作品が多い事に気がつきます。

「婦人の友」(2019年7月号)の対談で、息子の知青(ともはる)くんについても語られていますが、言葉を持たない彼が自分のやり方で世界を捉え、耳を澄まし、自分のやり方で表現するように。あきこさんも、いわゆる日本語以外の言葉(オノマトペや空気、時には景色やねこの声まで)を汲み取って、繊維一つ一つを組み合わせて、一枚の紙に漉いているのだと思います。

それらは、ときに悲しみや不安見えるものもありますが、全体は、とても大きな愛で包まれています。

「”うたうように”生きたい」(同誌)というあきこさん。その作品は、時に空想の世界や、ファンタジックな印象も与えるほど愛らしいものです。しかし、ともくんや、あきこさんが自らの方法ですくい取った世界と歌は実際に絵本の様に純粋で、音に溢れていて、跳ねるような光景が広がっているのだと思います。不安や困難がたくさんあっても、一枚の紙に漉く。答えを出す時には暖かで、リズムに溢れた、柔らかい世界であって欲しい。という意志や願いを強く感じる事ができます。

職人ではなくて、和紙造形作家のにしむらさん。見えている世界をありありと映す為の仕事なのだと、改めて実感しました。

表現の為の道具として技術を使うのではなく、より生々しく、心に寄り添ったところに仕事がある立ち姿は、作り手としても大変勉強になりました。

どこまでもテクスチャや奥行のあるにしむらさんの和紙ですが、そう思うと一つ一つの揺らぎや違いを凄く愛おしく思えてきます。

まさに和紙のように、細やかな思いが集められ、ぎゅっと凝縮した作品。直接、ご覧いただければ嬉しく思います。