BLUE POND「サマータイム」展

いよいよ、space1-15の夏まつりを皮切りに、ガラス作家BLUE PONDさんの展示が始まりました。

小皿、箸置き、帯留、コマなどもあります。

BLUE PONDさんの魅力は、何といってもその自由さにあると思います。

作家ご本人を知っている方は初対面でその大らかさ、心の軽やかさに気がついているはず。

生き方や思想、というより、そのお人柄が作品に満ちている事がすぐに分かると思います。

作者の青池さんは、武蔵野美術大学の工芸工業デザイン学科卒業。在学中には陶磁を学んだり、卒業後は伝統的な鋏職人の所で働いたり。現在はグラフィックデザインも手がけながら、音楽活動もしています。ガラスを主な仕事としながらも、愉快な事、人と繋がる事を何よりの喜びとして、跳ねるように日々を過ごしています。

シャープな印象のアクセサリーも多く手がけていますが、今回、がたんごとんに併せてお持ち戴いたオブジェや、駒、風鈴「つららの音」(つららのね)、絵画など、バリエーション豊富にお持ち戴きました。

磨く、削る、など、エッジのある印象を持たせるよりも、ガラスを窯で溶かす技法で、その偶然性や変化を楽しむ BLUE PONDさんの作品への向き合い方は、偶然性のある陶磁や、場を楽しむ音楽など、ご本人の在り方と一体になっているように思います。

今回、アクセサリー以外のものもたくさんお持ち戴いた事、ライブを開いてもらった事などで、BLUE PONDさんの魅力を多く引き出す展示に出来ました。

展示に併せてお持ち戴いた本『考えない世界』もとても素敵な本です。

8月いっぱい開催中!

皆様のご来場、お待ちしております。

(よ)

書籍紹介ー「未明」02ー

◆『未明』について

『未明』は「ポエジィとアートを連絡する叢書」というコピーの掲げられた本です。

一見すると詩のアンソロジーですが、他に類を見ない本となっています。あとがきに、この本の意志が書かれていました。

「『未明』は詩誌ではありません。さまざまな職業の表現者たちがそれぞれのポエジィを持ち寄り、それを編んだアンロソジー叢書です。」

◆『未明』のポエジィ

ポエジィは、詩情とも訳されます。ポエジィは詩特有のものかと勘違いされがちですが、僕の畑でいえば工芸。音楽や美術、演劇、あらゆる芸術分野が、詩情をもっています。この本を開いてみると、実は35名中、いわゆる多行書きの詩のみの作品は4名ほどで、ミュージシャンや翻訳家など、詩人以外の顔を持っている人が殆どです。

詩+散文。短歌、俳句、写真。

または単体の版画、日本画、建築、写真。エッセイは、食べ物、音楽、民話、旅、歴史など、多岐に渡っています。

詩誌でも、アートブックでもない。しかし読んでいると、確実に通底したものを得られます。これだけ多様な作家の言葉や表現を1つに繋いでいるもの。作品が本質として抱えているものがポエジィなのだと思います。

本全体ではなく、個々の全ての作品に触れたいのですが、その内容はとても多様です。

木村朗子さんと山本昌男さんの、壮大な幕開けを感じる冒頭の写真。谷川俊太郎さんの果てしない問いかけ。岸本佐知子さんの翻訳された俳句。蜂飼耳さんの、慈愛と命の不思議に触れるような詩と文。扉野良人さんの、僧侶ならではの深みと、世捨て人のような心地よい詩。齋藤靖朗さんの、中世の修道女ヒルデガルドの世界観とその背景もとても興味深かったです。

中家菜津子さんは、当ブログでもご紹介した事がありました。詩や短歌を自在に構成する作家さんなので、むしろここがホームグラウンドなのでは…?と思ってしまうほど、魅力を発揮されているように思いました。

『四季』より『十二月』

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古いビデオの中の夕光が

窓から差し込んだ夕日に

混じりあうのに見惚れて

五分後、君は巻き戻す

黄色い帆、乾いた音をたてながら風が止むとき銀杏にもどる

ー本当は、作品の連なりの中で得られるものの方が多い気もするのですが…!ややノスタルジックな世界観と日常の中に、叙情、詩的な暗喩が漂います。風を受けた銀杏が黄色い帆に見える。というのはとても短歌的な喩に思えます。実景と喩という行間に、詩と短歌という行間が足される事で、言葉の奥のポエジィが掛け算として広がるように思いました。

小津夜景さんも、とても魅力的な文章を書かれる俳句作家さんです。

『ゼリーフィッシュと遠い記憶』より

「では、水族館に行きますか」

肘をついて、ぼんやりしてゐたら、とつぜん目の前のひとにさう提案された。このひとにはテレパシーの性癖があるのだ。

あんのんと烏帽子に花のえくぼかな

時は春。ハイウェイ・ハイな音楽を聴きながら、海岸ぞひの道を車中から眺めてみれば、どこもかしこも桜の花でいつぱいである。

ペンキ塗りたての札立つ鳥居かな

ー男性は、帽子でも被っていたのでしょうか。烏帽子、テレパシーの性癖、ハイウェイ・ハイなど、キレのあるワードセンスの中に、旧かなづかいや「かな」という切れ字、あんのんという柔らかで古風な響きなど古典的なニュアンスも練りこまれて、文体に取り合わせが散りばめられているような印象もあります。そのせいか、全体は穏やかで水族館に行くという日常のはずなのに、気づけば少し不思議な世界を漂っているような。水族館、クラゲというモチーフが、更に意識を浮遊させます。

松葉末吉さん(テキスト・外間隆史さん)の写真と解説、『松葉末吉のポエジィ。』もとても素敵でした。明治生まれ、北海道の温泉街でバスの運転手をしていたアマチュア写真家の写真を載せています。現像用の水も、1キロ離れた井戸に汲みにいく様な土地にいたようですが、それは、昔懐かしい日本であるとか、貧しさを美化する視点のような表現ではありません。芸術写真のような、偉そうな気配もなく、ただの家族写真というにはあまりに慈しみや叙情にあふれた、とても魅力的な写真です。テキストは、松葉さんを過剰に讃える訳でもなく、時代や、生い立ちを比較的淡々と語っています。市井のアマチュア写真家、その中にも、あまりに豊潤なポエジィがあった事を教えてくれます。

敢えて様々な道筋を用いる事で、芸術全般の本質、詩情を生々しく掴もう。鮮やかに描きだそうという、堅く強い意志を、この叢書全体から感じました。

あとがきより

「詩やそのほかの文章は目に見えるものですが、果たしてポエジィはなかなか文字や絵になってくれません。なぜならそれが「詩的なるもの」ではなく皆さんよくご存知の、心に起こる<現象>に過ぎないからです。

ここに並ぶ作家らの裡(うち)に明滅したほんの微かな<現象>を、どうぞご覧ください。

それはきっと、あなたの裡にも起こるはずです。」

このブログでどこまで説明しても現象の説明にしかなりません。その現象そのものは、是非、ご自身の心の中で味わって戴ければと思います!

(よ)

道新への掲載/箒の種類と価格について

2018年7月23日の北海道新聞の夕刊・全道版の紙面にて、当店の職人と箒をご紹介いただきました。ありがとうございました。

掲載後、お問い合わせもいくつかいただいております。
記事をご覧いただき、また、箒にご興味をもっていただき、誠にありがとうございます。

HP上での情報掲載が間に合っておらず、お問い合わせ後の対応で大変恐縮ですが、当店で制作・販売している箒のリストを以下に掲載いたします。ご参考ください。(クリックで大きくなります)

12cmなどの表記は、柄から穂先までの箒の全長です。一本一本、微妙に違ってくるので「おおよそ」とお考え下さい。

タイミングによっては、店頭で品切れしている場合もございますが、今現在は在庫が充実しているので色々とご覧いただけると思います。
なお、「中津箒」には職人が何人かおり、そのうちの一人が当店の吉田慎司です。当店で販売するのは、吉田が作る箒のみとなっています。

今週末は職人が不在となりますが、8月の営業日は全ておりますので、制作の様子をご覧いただけます。
9月はイベントへの出張で、不在や休みの日が多くなってしまう予定なので、直近でご来店をお考えの方は8月中がおすすめです!!

HPやSNSでは、つい本のことばかり書いてしまっているのですが…
箒のことについても、今後紹介してまいりますので、ご興味ある方はぜひSNSをフォローしていただければと思います。
どうぞ、よろしくお願いいたします。

【7/28 WS開催】シルクスクリーンを体験してみよう!

【7/26追記:おかげさまでWSは各回定員に達しました!
見学やキットの購入はできますので、ご興味のある方はお気軽にお越しください】

7/28の土曜日、大阪よりレトロ印刷JAMのスリマッカーが、
がたんごとんにやってきます!

自分で書いたイラストなどをその場で製版して、シルクスクリーンという技法でトートバッグやTシャツなどの素材に印刷するワークショップです。
スリマッカおじさんが丁寧に教えてくれます♪
みんなでわいわい楽しみながら制作しましょう!

シルクスクリーンが好きな方、オリジナルグッズを作りたい方、
なんか面白そう〜!という方、ぜひお気軽にご参加ください。
お子様・親子での参加も大歓迎です。

見学のみも大歓迎!空いていれば、当日の飛び込みもOKです。
SURIMACCA(スリマッカ)や、インクの販売もあります。
http://surimacca.com/surimaccattenannan.html
(送料分が圧倒的にお得!!!)
気になっていたあなた、どうぞこの機会にお越しください!

【日 時】2018年7月28日(土)

①12:00-13:00 ※定員に達しました
②13:30-14:30 ※定員に達しました
③15:00-16:00 ※定員に達しました
(各回4名ずつ)
(※7/26時点の予約状況です)

【参加費】500円 ※素材・製版代別途

【素材代】100~500円程(トートバッグ,巾着など)
  ※素材持ち込み可
【製版代】 XS(8cm×20cm):800円 S(20cm×20cm):1100円

※原稿はその場で書くこともできますが、ご用意いただくとスムーズです。
サイズ調整、モノクロ加工などは当日行えます。
※インクがつく場合もありますので、汚れてもいい服装でお越しください

【申込み】

・がたんごとん店頭
もしくは、

・がたんごとんHPの「お問い合わせ」より
①お名前 
②当日連絡可能な連絡先 
③参加人数 
④参加時間
をお伝えください。

”シルクスクリーンってなに?” な方はこちらをどうぞ↓
●SURIMACCAR 
http://jam-p.com/plus/surimaccar.html
●レトロ印刷JAM
 http://jam-p.com

書籍紹介ー石亀泰郎さん写真集「ふたりっ子バンザイ」

今橋さんの歌集に続き、子ども関連の本の紹介です。

50年以上、子どもの写真を撮り続けた石亀泰郎さんの、最初の写真集の復刊です。戦中に生まれ、小学生の頃は農村に引き揚げ、中学の時は北海道の叔母の養子になり、子どもの頃は寂しかった。という石亀さん。

『ふたりっ子バンザイ』は、本当に日常の風景。ミルクを飲む。寝る。三輪車を押す。笑う。押し合う。泣く。走る。当たり前の日々が綴られています。

ネットに溢れるような派手な夕日や、「奇跡の瞬間!」の様なシーンは1枚もありません。普通の日常。ただ、この2人にとっては生きている事がどうしようもなく刺激的で、真剣で、かけがいのない事なのだと気付かされます。街にいる子ども一人一人が、全ての大人が、この世界を持っていたのだと教えてくれる。

本当は毎日が、今の一瞬が、私達の奇跡の瞬間なのだと思います。

ふたりっ子バンザイ!!

生命バンザイ!

あとがきよりー

「今の子どもたちを見ていて思うのは、自然の中で育つ機会をもっと増やしたほうがいいということです。もう一つは、子どもたちに自分自身で何かを見つけだしてくる癖を身につけさせることだと思います。」

この写真集で、一つ、大切なものを見つけられた気がします!

(よ)

書籍紹介ー今橋愛さん「としごのおやこ」

今橋愛さんの第三歌集。多行書きで、57577とは別の切り方をする特徴ある作風の今橋さんですが、とくに今回は育児、子どもここちゃんとの歌がほとんどで、これまでとは少し違う歌集となっています。
※本文では縦書きなので、印象が違うかも知れません。ご了承ください。

あかるいみらい
あかるいみらいに立っている
じめんをふんで ぼくはあるきぬ

わたしうむの、うむよ
はねをぬいて
せかいを

うまれたまちで あかちゃんをうむの。

ママ5才
ここは4才
おかしいね。
かささしていく
としごのおやこ

—ひらがなや甘い雰囲気の漂う作風の今橋さんですが、被写体との化学反応で、まるで
こどもが稚拙に語りかけてくる様な印象を受けます。
しかしそうなるのは偶然ではなくて、子を持つ母の多くは身体と、心の奥の方まで子どもの世界に取り込まれる。一体になるような事が多いのではないでしょうか。
ママが5才。おかしい。でも、おかしくない。同じ身体なんじゃないかと思うくらい近くにいるし、物理や時間を越えた存在として共に生きるここちゃんの魔力は、どんな子どもも、最初から持っている神秘なのではないかと思います。傘の下、2人だけの世界を歩いていく様が目に浮かびます。

ここちゃんの髪の毛は
クリームブリュレや
カヌレのようなにおいがするよ

ここちゃんは全身で表現するから
すきにならずにいられないです

「4月からピンクの帽子のここちゃんです!」
おかあさんはさみしいのです。

おいかけて
とととと と とりあるいてて
まえぶれもなく
とぶ
きゅうに ぱっと

—実は、単語や出来事自体は驚くほどシンプルだと思います。難しい用語もなく、目の前を直球で描写している。
子どもって甘い匂いがする。全身で表現するよね。学年あがって寂しい。
もはや子育てあるあるのような気すらします。
それが何故か、圧倒的な感情量と、リアリティと詩情をもって迫ってくるのが不思議です。

字余りによって溢れる感情。稚拙にもみえる語り口によって、その衒いのなさ、無防備なまでの率直さが表現され、短歌のリズムが改行で更にリズムを付加されて生まれる音楽性など、全てが一本の愛おしい日々に集約されていきます。

もうたりひんことをかぞえるひまはない
このひとたちと生きていきます

じてんしゃをこいでいるんだな
このまちで
それが全然いやじゃないんだ

工場のドアをあけると
じいちゃんばあちゃんがいて
そうだった わたしの場所は

うれしいのは
ももがすきな子にももをむき
おいしいと言って
たべるの みること

—たまに、ここちゃんではなく、自身の描写が出てきます。それは、ここちゃんとの暮らしの中で更新されていく自身の姿。
理屈や発見という様な、大人のやり方とは違う。苦労しながら世話をしているようで、実は無条件に自身を肯定してくれる巨大な存在、ここちゃんへと還元されていく感じを受けました。直球、そのままの言葉で、正面から、こちらの心もこじ開けられてしまうような力を感じます。

—帯に、「すべての子どもを産み子どもを喪くした人へ」
という言葉があるので、ネタバレにはならないと思います。
この世に生まれてこられなかった、ときちゃんの話です。

ポリープの話をきいて、そこからさき 心ぞうの音がしない。え、なにそれ

生まれてくるだけで
そだてて産むだけですごいことやのに わすれてしもたんか

「にじゅういちがつに ときちゃんうまれるの?」
行きたいね。
にじゅういちがつに
みんなで

急に改行がなくなり、素の関西弁が出てくる。ひらがなのここちゃん的文体と、あどけないその姿。
名状し難い感情の乱高下、しかし流れる日常、しかし何もかも違う。
この連続は、間違いなく歌集という連続した中でしか生まれない世界で、一読いただくしかないのだと思います。

途中の文章、日記も、等身大の生活を表していて素敵でした。

また
写真 石川美南
題字 COCO
装幀・イラスト 花山周子

となっていて、石川さんも花山さんも歌人の方です。COCOは、おそらくここちゃん。
等身大、手に届く範囲の世界を、かっこつける事もなく、しかし大きな感動を持って、驚くほど鮮やかな形で表現するというのは、本当に短歌・歌人の力なのだと思います。

子どもを持つ方、これから持たれる方に響くことは間違いないのですが、日々を新鮮に形にする力、生き方とともに変化する歌人の立ち方。すごく美しくて清々しい。全ての方にお勧めできる一冊です!

(よ)

『ぼく(石井僚一)の考える最強の短歌フェア』トークイベントの報告

7月7日、石井僚一さんの批評会に際したフェア(継続中)、それにまつわるトークを開催させて戴きました。以下が、こちらでご用意させて戴いたリストです。(順不同)

●山田航『さよならバグ・チルドレン』(ふらんす堂、2012年)
●田村元『北二十二条西七丁目』(本阿弥書店、2012年)
●樋口智子『つきさっぷ』(本阿弥書店、2008年)
●服部真里子『行け広野へと』(本阿弥書店、2014年)
●伊舎堂仁『トントングラム』(書肆侃侃房、2014年)
●谷川電話『恋人不死身説』(書肆侃侃房、2017年)
●水原紫苑『びあんか・うたうら 決定版』(深夜叢書社、2014年)
●岡崎裕美子『わたくしが樹木であれば』(青磁社、2017年)
●熊谷純『真夏のシアン』(短歌研究社、2018年)
●笹井宏之『ひとさらい』『てんとろり』(書肆侃侃房、2011年)
●道浦母都子『無援の抒情』(ながらみ書房→はる書房、2015年)

戴いたコメントと、トークで補足いただいた内容を併せて順不同で紹介していきます!

■ぼく(石井僚一)の考える最強の短歌フェア

道浦母都子『無援の抒情』(ながらみ書房はる書房、2015年)
ここが最強!!!!!➡ 全共闘!!!!
明日あると信じて来たる屋上に旗となるまで立ちつくすべしぼくは全共闘世代のひとにシンパシーを感じていて、どちらかというとその角度からこの歌集が僕の手元に滑り込んできた!!!「父親のような雨に打たれて」という連作を作るときにこの歌集を読んでいて、連作の作り方はこの歌集から倣ったと言っていい。この歌集がないと僕はここにいなかった!!!!!!!!ありがとう道浦さん!!!!!!

—トークでは、石井さんが全共闘自体に興味があり、短歌とは別ラインで入ってきたと言う話。
闘う、生きる、という事にかっこいいとは思っているそうですが、石井さんご本人は、仲良くやるべき。という意識をむしろ強く持っている方でした。歌会活動家。と名乗るくらいで、とても人間関係を大切にしている印象です。樋口さん、田村さん、山田さんなど、地元の先輩に対しても、強い思いがある方。とにかく、穏やかな語り口やお話のなかにも一貫して、感情を強く持っている方でした。

伊舎堂仁『トントングラム』(書肆侃侃房、2014年)
ここが最強!!!!➡ 真面目!!!!!!!
元彼女にいつでも会えるなぜだろういま筆跡が似てきてるのは説明しているうちのそれがだんだん言い訳みたいになってきて焦ってきて言葉の数が増えてそのことについて話しているうちにどんどん本題から遠ざかって自己弁明のようなものがが増えていく、みたいなことが嫌で事前に状況をしっかりと説明していると結局本題には入らなくて、斜に構えているように見えるけれど全部本気だ!!!!!!!!というような歌集です。

谷川電話『恋人不死身説』(書肆侃侃房、2017年)
ここが最強!!!!➡ キモイ!!!!!!
ああこれもぼくの抜け毛だ またきみの抜け毛が見たい もどっておいでキモい!キモい!これが恋愛だ!!!!!フラれたら未練たらったら!!!!!それでもこれが恋愛だ!!!!恋人と一緒ならおのろけ&おとぼけ!!!喉元過ぎればキモさも忘れて、これが僕たちのピュアな気持ちだと思えてくる!!!!!!!!

ー以上の2人は、女の子への歌も多くて、男の子という所は自身のスタンスとは共通している。との話。
対して、真逆とも言えるスタンスの熊谷さん。

熊谷純『真夏のシアン』(短歌研究社、2018年)
ここが最強!!!➡ 人生!!!!!!!
わが家から最寄りのコンビニにてレジを打ちては帰るもうすぐ七年1974年生まれの作者の2010年~2017年の短歌が収められた第一歌集。引用した歌の通りアルバイトをしながら、恋をしながら、生や死について思いを巡らせる一冊。この一冊が素晴らしいのはコンビニバイトを長年やり遂げる熊谷さんの、何年も変わらない真面目さであって、誠実さであって、こういう人が短歌を通してこうやって現れてくることがひたすら嬉しいです。

—ストイックに、たんたんと日常の中で歌い続けるスタンス。この温度をキープして出てくる厚みは凄い。自分はこうはなれないし、重みがあって、押している歌集。との事です。入力していて、文字数も少ない。定型でかっこいい。重たさ、という面では

水原紫苑『びあんか・うたうら 決定版』(深夜叢書社、2014年)ここが最強!!!!
➡ お買い得!!!!
飲食のひとびと脚を失へり 花があふるる花瓶のやうに美意識、というものを突き詰めていくときに、やっぱり現実社会(あえて「社会」をつけます)というものは美からは遠いわけで、この歌集は美しいとともに暴力的でかつ残酷だ。そんな水原紫苑さんの第一・第二歌集がセットになって2000円+税!お買い得!!!!!!

—も立ち位置は違えど、かっこいい。やるやらないは別にして、作ってみたい。とは思う。との話。

笹井宏之『ひとさらい』『てんとろり』(書肆侃侃房、2011年)ここが最高!!!
➡ 魔法の呪文!!!!!!!!
えーえんとくちから えーえんとくちから 永遠解く力を下さい言葉に人間を(ないしは人間の心を)まもる力があるのだとしたら、僕はなんとなく笹井宏之の歌にその力を見出したいな、と思っている。持ち運べるおまもり。笹井さんのおかげで短歌の世界は間違いなく良くなっているし、短歌をやる人の環境も良くなっているはずで、この二つの歌集から今の盛り上がりがある!!!!魔法の短歌だ!!!!

—は、初めて買った歌集で、忘れられない、入れざるを得ない歌集だった。ねむらない樹の関係もあり、最近も読み直して改めて感じ入っていたそう。

吉田隼人『忘却のための試論』(書肆侃侃房、2015年)ここが最強!!!!
➡ 美意識!!!!!!!
いもうとの手首癒えねば我ひとり猫の死骸を埋めにゆくなり若い歌人のなかでははっきりと異彩を放っていて、なんというか吉田隼人さんの歌はどれも重たくて寂しそうだ。それでいて硬くて美しい。僕なんかが軽率に指を触れることは躊躇われるのだけれども、光をあてるのは躊躇われるのだけれど、それでも最強!の括りにこの歌集を入れないのはおかしいので入れました!!!!!!
—とりあえずかっこいい。俺もなりたかった(笑 との話でした。死に向かっているタイプではあるが、長生きして欲しい。やはり受賞作の連作はべらぼうにいい。震災の体験も含め、厚みもあり良い歌集である。

岡崎裕美子『わたくしが樹木であれば』(青磁社、2017年)ここが最強!!!!➡ ド直球!!!!
子がいたらこのような夜を過ごすのか眠るまで君の髪を撫でたり二十代の頃の第一歌集では<羽根なんか生えてないのに吾を撫で「広げてごらん」とやさしげに言う>と歌っていた岡崎さんの、それから十数年経っての境地がここに!!!!!生みえなかった子どもを夢想しつつ、年下の男を抱く!!!!!!!死とは?愛とは?命とは?生きるとは?ド直球の人生に圧倒される。ぞくぞくする。

—2017年の中では一番刺さった。生や死に触れながらも、性愛。年下の男を抱く。などの赤裸々な連作は刺激的で、父の死なども生々しい歌集。ビビった。

樋口智子『つきさっぷ』(本阿弥書店、2008年)ここが最強!!!!
➡ この北海道感がすごい!!!!雪のにおい つんと染みてる鼻の奥なんだか切ないにおいなんですここが北海道だ!!!!僕は雪がつらくて北海道から脱出したけれども、とどまり続ける人がいる。樋口さんはとどまったひとの一人だ。この歌集には北海道で生活をすることの、その雰囲気が十全に出ている。その向こう側で樋口さんがときおりやさしい表情を浮かべるのだ!!!!!!!(今回、本当に全然流通していない本書を樋口さんにお願いしていれてもらいました!この機会に買わなきゃ損!あと片山若子の表紙が最高)

—あまり流通もしていないのですが、とてもおすすめ。表紙の絵も羨ましい。
石井さんの歌集も、イラストなどを入れる案もあったそうですが、セキネシンイチさんにおまかせしたら、絵をいれるという提案もなく、中のタイトルのフォントや構成などもセキネさんからの提案。お任せで、この刺激的なブックデザインになったそう。

山田航『さよならバグ・チルドレン』(ふらんす堂、2012年)ここが最強!!!!
➡ 短歌はホームランだ!!!!ホームランが打ちたかった。打った瞬間にわかるような手応えを感じたかった。不全感の向こう側で我々は短歌と出会った。出会ってしまった!そんなあとがき(正確には「あとがきにかえて」と副題を添えられた散文)を読んで一通り落涙!そうして短歌を読むと、山田さんが短歌を楽しそうにつくる様子が見えてくる!!!!見える!!!!みんな!短歌をつくろう!!!!!

—それこそ山田さんのブログ、影響で短歌会に入った。欠かせない人。あとがきを長くきちんと書いたのも、山田さん、バグチルドレンの影響である。

田村元『北二十二条西七丁目』(本阿弥書店、2012年)ここが最強!!!
➡ バカヤロー!!!!!!俺は詩人だバカヤローと怒鳴つて社を出でて行くことを夢想す人生は熱い。田村元というナルシシズムの雄が、<花びらを上唇にくつつけて一生剝がれなくたつていい>と学生時代に高らかに歌い上げた男が、社会の中で「俺は詩人だバカヤロー」と怒鳴ることができない。そんな冴えない現実を歌っている!!!!これも短歌で、これも人生だ!!バカヤロー!!!!!俺も怒鳴りたい!!!!!(今回あまり流通していない本書を田村さんに直接お願いしておいてもらいました!ありがとうございます!)

—田村さんも北大の方で、学生を経て働き出し、だんだん会社に疲弊していくリアルに引き込まれる。その中で顔を出す詩人の顔。赤裸々な形に魅力を感じる。

服部真里子『行け広野へと』(本阿弥書店、2014年)ここが最強!!!!
➡ 強い!!!!!!!野ざらしで吹きっさらしの肺である戦って勝つために生まれたできれば勝ちたいが戦うのは面倒だな、と僕なんかは思ってしまうのだけれど、なんというかそのことこそある程度満ち足りていることの証明で、服部さんは野ざらし&吹きっさらし!!!!しかも肺!!!!最初っから背水の陣みたいな人のつかう言葉はやっぱりなんか違くて、やっぱり強い!!!!!!!!!!!!!!それでいて芯が通っているから美しい!!!!!!!!!!

—まずかっこいい。買って下さい。独特の文体で、美しさを追求している。意味がとれなくてもかっこいいレトリック。

こちらからの質問で、歌集は作歌の参考にしますか?という事に関して

—かなり参考にしている。最初は、読み解くために作っていたくらいだった。よく真似もしているが、周りには伝わっていない(笑)真似しても真似にはなかなかならないので、歌集を読んで真似をする事は良いと思う。歴史や伝統は尊重したいし、精神としては在野である。半分歌人、のような感覚もある。短歌は、生きる方に向かって欲しい。吉田隼人さんも墓碑のような歌集でもあるが、みんな、死なないで欲しい。選んだ歌集も、生きている人、読まれたがっているはずの人の本を選んだ。との話もありました。
百年後に伝わる短歌じゃなくて、いまの人に伝えたい。そういう在り方を志向している。生きているからこそ良い歌を作りたい。死にたい。とか、はあまり言わないようにしましょう。辛いことを書くより、楽しい、良いことを書く短歌の方が良いと思っています。などなど、歌集制作過程の話も含め、フランクに色々と聞ける会でした。

翌日、書肆吉成さんでの朗読も、とても情熱的でした。今後とも、歌人、歌会活動家、石井僚一新人賞など、枠を超えた活躍、注目していきたいと思います!

第3回「がたんごとん歌会」

◆第3回「がたんごとん歌会」のお知らせ◆

・2018年8月19日(日) 13時〜16時(予定)
・テーマ詠「ごはん」or 自由詠 二首まで
・参加費500円(飲物、お菓子付き。持ち込み自由)
・詠草投稿フォーム https://goo.gl/forms/9r5XE2rP8rL6MdtY2
         〆切:8月14日中
※上手く動作しない場合、メールや、DMなどでも大丈夫です。

出入り自由。見学、(または詠草なしでの参加)、初心者大歓迎です!
歌会とは・・・皆で、テーマに沿った短歌を持ち寄り、わいわい好きなところや気になった所などを鑑賞しあう会です。
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テーマは、前回最多票だった月原真幸さんから戴きました!

日のあたるほうのシートに腰かけて光合成をする南北線

毎度、初めての方もおいでいただいて嬉しいです。
他のお店ついでに覗く方もしばしばいらっしゃるので、お気軽においでください!
みなさまのご来場、お待ちしております〜