書籍紹介ーやさしいぴあのー 嶋田さくらこ さん

私も、お世話になったのでこちらから

嶋田さくらこ さんは、「うたつかい」というZINEも企画・発行されていて、吉田も、何度か投稿したことがあります。(すっかりご無沙汰してしまった・・・また投稿したい)
百数十名の投稿者がおり、みんな、twitterアカウントを持っています。若い歌人の、最新作品がぎゅっと詰まったZINEです。

そんな嶋田さくらこさんの歌集。
うたつかい同様、間口が広くて、すっと心に入ってくるものが多いです

主には…恋の歌!

仲直りしてあげるから買ってきて雪のにおいのアイスクリーム
君とよく行ったドラッグストアにはまだある同じ香りのシャンプー
薄紅に染めた指先潜ませたコートのポケット 早く気づいて
手のひらが大きいねって言ったこと去年の冬のことにしないで
淡雪がやさしい雨になりました 泣くならこんな日がいいでしょう

しかも、すごい量で、殆どが届かぬような叶っているような・・・
映画でいうと、どこを開いても名シーンという感じに、ときめきの連続であります。

バスタブの淵に沈まぬようにしておかえりなさいの練習をする
つぶやきは真夜中の雨 ささやきは暁の雨 春になりたい
日曜のまひるあなたを思うとき洗濯ものもたためなくなる
おとうふの幸せそうなやわらかさ あなたを好きなわたしのような
たんぽぽが綿毛を飛ばすつもりなどなかったようなさよならでした

で、緩急の繋がったストーリーがある、というよりはきらきらしたシーンが連続する。
という感じで、鑑賞しやすいですね。あまり、短歌に親しみのない方にもお勧めです。

多くは、恋のシーンを詠んだ歌で、嶋田さん自身の人物像やプライベートは出てきませんが、実家(地元?)の事を詠んだ章があります。

おう、わしやわしや、と電話かけてくるこの町のおじさんはみんな
みほちゃんの髪はほそくてやわらかい 冷たい水で洗うんだって
いなくなる妹たちのオルゴール鳴らせば子供部屋だったこと
父に似た娘は父に似つかない男に嫁ぎ、もう似ていない
信じたい神がいなくて毎日を何に祈ればよかっただろう
だんごむし生きているのかつらかった時代もあった 丸まっている
願わくばこの毎日がゆるやかに<とある未来>へ続きますよう

ノスタルジー感というか、戻らない昔の時間に思いを馳せる切なさと
重たさ。別に、昔に帰りたいとかじゃないんですけどね。変に作為や奇をてらうではなく、ストレートに詠んだ歌。ずしんと心に残ります。
恋の歌も、直球ストレートど真ん中!という感じです。

渾身の空振りだよね(エマージェンシー!エマージェンシー!)うるさいよ涙腺
長すぎる髪が背中でからまって起きあがれない このままでいい
「旅に出る」なんてセリフを男から聞かされている 女はつらいよ
みぞおちに猫をいっぴきのせたまま眠る夜明けは少しつめたい

これだけ恋の連続でも全然苦しくなったり、叶わなくても、不思議と読後は軽やかですね・・・!こういう、ユーモアの余裕もあるせいでしょうか。

他にもたくさんの歌がありますので、是非是非、直接ご覧ください!

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