第7回歌会のお知らせ

◆2019年7月14日(日)
・13時半〜1時 (終了時間は予定)
・参加費:500円 
・お題:「なんらかの二人称」読み込み必須 (例:あなた、貴様 / 貴校・御社・人の名もOK)
・参加費500円(おやつ、飲み物つき)自由詠 2首まで 

・提出〆切:7/10中
・投稿フォームは→こちら (当日飛び入りの見学も大歓迎!)
 ※上手く動作しない場合、メールや、DMなどでも大丈夫です。

出入り自由。見学、(または詠草なしでの参加)、初心者大歓迎です!
歌会とは・・・皆で、テーマに沿った短歌を持ち寄り、わいわい好きなところや気になった所などを鑑賞しあう会です。
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お題は、前回最多票だったナカヒラカオリさんからのお題です。

初めての方でも、見学だけでも。お気軽においでください!
たくさんの方に、歌会の楽しさ、短歌の面白さが伝われば幸いです。

みなさまのご来場、お待ちしております。

【書籍紹介】ささやかな光-木下こう さん『体温と雨』

一度絶版したものの、愛を持って、私家版として再販された、木下こうさんの歌集です。

月光は踏むとしずかな音をたてひかりはじめるふしぎなひかり

てのひらに掬へば零れゆくばかり水もま水のやうなる日々も

手と手には体温と雨 往来にさみしくひかるいくつかの傘

ささやかで、清らかな光、水などのモチーフと、しっとりとした質感が、文語やひらがなの柔らかさと呼応します。

小さな音、小さな光、わずかな変化を、慈しみを持って拾いあげる。薄暗い中で、一筋の希望を見つけ出すような感動があります。

春泥をあなたが踏むとあなたから遠くの水があふれだします

ママ、ママとまちがへながら吾に来し子は春に降る雨の目をして

ひるひなか、からつぽなだけのわたくしにくいひるやうに白梅咲けり

いやだいやだ錠をかけても夜がくる 月が笑へりそのわらひやう

幻視や、空想に見える描写もあるけれど、肌に触れるような生々しさもあって、何かに例えるという論理より、まず先に描かれた情景の柔らかさや、神秘性に心を動かされます。

たくさんのがらくたたちがひかりだしそのはしつこが夜明けのやうで

不安や悲しみを感じるような情景も、何かを否定する。というよりは、森羅万象の日陰の部分に触れただけ、というような大きなスケールを感じました。

雑多ながらくたにも、光を見出す、静かで、愛情に溢れた一冊。(よ)

語るまでもなく素敵な句集-八上桐子さん『hibi』

ひんやりとはじまるものを春と呼ぶ

鳥は目を瞑って空を閉じました

無言でもいい人といる埋立地

『hibi』は本当に、どのページを開いても、ため息がでてしまうような川柳に満ちていて…ただ、読んでください。という事に尽きるのですが、それでは紹介の記事にならないので、無粋ながら感想を述べていきたいと思います。

hibi と言うと、日々、や、割れのヒビ、などがありますが、単語のセレクト自体は極めて日常的です。文学的な単語よりは、口語、普段の言葉で語られている様に思います。

握りたくなる新品の鉄パイプ

さみしいのかわりにセロファンとつぶやく

でたらめな呪文でひらく十二月

575に言葉をはめられていると、どうしても、多くの意味を含んでしまったり、重みのある気配をまとったり、知っている句のイメージと繋がってしまう事が多いのだけれど、八上さんの句はどこをとっても軽やかで、疲れさせない。意味や背景ではなく言葉そのもの、描かれた情景そのものに魅力が集約されている気がします。

鉄パイプは鉄パイプ以上でも以下でもないと思うし、呟いた言葉も、何かの例えでも、仕掛けでもなくて、言葉が言葉として放たれたように感じます。文学のチャンネルを通さずとも、その言葉の意味や美しさがそのまま心に、入ってきてくれて、普段の言葉と浸透圧が全く変わらないのでは。生理食塩水よりも、身体に親しい水を注がれている気になります。

こうすれば銀の楽器になる蛇口

おひとりさまですかと闇に通される

そこで結ばれる像はいつも明るくて、風通しがよくて、それでも、深い奥行きがある。すごく何気なく紡がれたようでいて、ここまで徹底して透明な言葉というのは、本当に1つ1つ慎重にノイズや避けたいものを取り除きながら、踏みしめながら、積み重ねられた言葉なのだと思います。

ただ痛いだけの痛みでしょう 波は

えんぴつを離す 舟がきましたね

呼べばしばらく水に浮かんでいる名前

定型がある、という事は定型は座りがよくて、字余りや字足らずは少し不安な印象や、型破りな印象を与えたりすると思うのですが、この句集ではそれすらもすごく穏やかで、余白にも豊かで密度のある時間が流れている事に驚きます。えんぴつを離す の後の空白に、舟がたどり着くまでの少しの沈黙と、舟のゆったりとした速度や湿度まで伝わってくるようです。

ヒヤシンスじゃあどうすればよかったの

おとうとはとうとう夜の大きさに

濡れている石に痛みのあるように

争いのような一コマ、不思議なように見える描写もあるけれど、やはり同じ温度の静けさと、繊細さと、同質の時間が流れて、密度で満たされている。発見、視点、意志など、作為的な世界を越えた大きな世界の中に漂うような。いつまでも、読んでいたくなるような一冊です。(よ)