北大路翼さん、話題の俳句入門書です!
奇を衒ったように見える表紙ですが、むしろ、王道を行く俳句論、芸術論の本ではないかと思います。
はじめにーより
「「え?なに?俳句?俳句って年寄りの趣味でしょ。難しくてわかんなーい」
馬鹿野郎!!
俳句は俺が知る限り一番ヤバイ「遊び」だ。」
とあります。
「心を取り戻せ」
俳句の入門書に、「感じたことをそのまま写し取りましょう」と記載されている事に対しては、
「お前らは感動の仕方がわからないんだ」と、喝破。
「俳句は大人の遊びだ」「俺は酒、博打、女の順に覚えた」
など、国語の教科書的な文学のイメージからしたら、無茶苦茶な事を言っているように感じるかも知れません。
しかし、この無骨な姿勢、社会に対する反骨心は、伝統的な姿でもあるように思います。
正岡子規は、『歌よみに与ふる書』で三十六歌仙の紀貫之を批判する事から始め、『芭蕉雑談』で芭蕉の批判をして、和歌を短歌に、俳諧を俳句に革新しました。
尾崎放哉や種田山頭火、若山牧水、中原中也、太宰治、この本にも出てくるけれど、酒や女で有名な文豪は多い。千利休だって、将軍に逆らって切腹させられている。
また、世間的に言われるアートと同様に、時代に抗いながら、戦争や前衛、アバンギャルドを経て現在まで文学が続いて来た事は、少し詳しい方ならご存知かと思います。
「え?なに?俳句?俳句って年寄りの趣味でしょ。難しくてわかんなーい」
馬鹿野郎!!」
に尽きる訳です。
北大路さんの実際に行なっている、フランクで、ざっくばらん、でも実直に感じた事を言い合う句会のやり方や、北大路さんの選ぶ名句(どれも、かっこいい!)
悩み相談コーナーまであり、人生に、俳句が具体的に作用する事を教えてくれます。
「つまらんことで悩むな。つまらんことに惑わされるな。自分で価値を決めるのが芸術であり、俳句なんだよ。」
上品なお稽古ではなく、核心へ突撃する勇気のある方にとって、最短距離の入門書かと思います!