ほうきについて

忘れられてしまった価値を、多くの方に伝え残していきたいと思っています。



中津箒は、明治時代より作られていたものを発展させました。
原料であるホウキモロコシを全て一貫した無農薬の自社生産をし、
製造を職人の手作りで行っている事で、柔らかくコシがあり、
耐久性のある箒を生産しております。
穂先を殆ど切らず、丁寧に揃えて柔らかく編込む為、畳だけでなくフローリングなどの掃く対象を傷つけず、細部まで届き、折れにくく大変長持ちする箒をお届けする事が出来ます。

美しく、豊かな暮らし

・箒のいた場所
ほうきは、道具でありながら、古いものは正倉院の中にも儀式用のものも納められていました。また、民間の習俗の中でも、嫁入りの時に尻を叩いて出す。葬列の先頭の者が箒を持つ。など、ハレとケの境界にある道具でもありました。
払う、清める。という文化も、日本独自のものです。掃き清める、というと日本語の分かる人は何となく理解できますが、上手く英訳も出来ない、民衆の慣習に属する考え方です。

・箒によって、美しくなるものとは
物理的にゴミやホコリを取り除く、清掃でありながら、心身を清める。折り目正しく暮らす。心を整え、長持ちさせる。ものを、家を大切にし、家族や自分自身を慈しむ為の道具です。
多くが量産され、使い捨てられ、簡便な答えや結果ばかり求めれる時代に、伝統的な歴史や慣習を織り込んだ箒が整えるものは、個人や、家を越えた大きな世界に向けられています。

自然を敬うという事

自然素材で柔らかな箒は、とても優しいものです。畳よりも自らが先に削れる事で、床や物を傷つけずに掃くことが出来ます。
特に、中津箒では、原料のホウキモロコシの上等な部分を出来るだけ残すため、極力穂先を切らずに製造しています。

・自然に対して、作り手が出来ること
選別する、取り除く、などは出来ても、基本的には素材そのまま、編み込んでいく箒。ただでさえ自然素材の箒ですから、その質や性能は、自然の力に頼るしかありません。かつて、草の選別は親方の仕事でした。草を見て、感じ、その力を最大限に活かすよう、経験と直感に基づいた作業を経て、自然の力を最も多く備えた箒が、良質の箒となります。
環境に優しい。ナチュラル。様々な観点で語られる箒ですが、環境保全、以上の敬意や、畏怖、関わりを結実した工芸品とも言えます。

理にかなうものを使う

精度の高い箒
海外の箒も、素材的には同じもの(品種など、細かく言えば違うはず)だけれど、日本の箒は穂先が繊細で密度が高い。理由は、日本人は畳を敷いていてその上を裸足で歩くからだと思われます。特に安い海外製の箒は暑い地域で育てられ、太く育っていて、硬く折れやすい穂先になっています。反対に、良質な国産の箒は畳を傷つけず、細やかに掃除をするために柔らかく密度が高く、しなやかな穂先に仕上げます。

吉田慎司の箒

中津箒再興のきっかけになったのは、かつての京都支店にいた、柳川芳弘の箒です。柳川芳弘(以下・芳弘さん)は、若い頃に箒産業の衰退と共に転職しましたが腕がよく、創作的で、その後30年以上、残った材料を大切に使い技術を高め、開発を続けていました。特に、京都という風土の影響もあってか、かつての荒物というよりは、鑑賞品にも劣らない工芸的な価値の高い箒を作り上げます。そもそも質の高い箒を更に精度を高め、小型化、多く応用できる技術を開発、会得する事に至ります。
吉田は柳川芳弘に手ほどきを受けながらも、学生の頃から民俗学や土地の風土に根付いた道具、民衆的な工芸にも影響を受けています。
工芸的で、美しく、人々の心に届く佇まいを持ちながらも、かつての暮らしにあった、堅牢で素朴な道具としての強さ、両面を携えた箒を目指して、日々工夫を重ねています。