第59回、角川短歌賞を受賞されている、伊波真人さんの歌集。
かっこいい!歌集です。
夜の底映したような静けさをたたえて冬のプールは眠る
三脚は新種のけもの芝のうえ三つのあしを下ろしゆくとき
・・・タイトル含め、星や夜、ロマンチックなワードが多いですが、夢想や幻想よりに飛躍するよりは、伊波さんのフィルターを通した解釈、という印象を受けました。
柔さよりは、夜や世界の美しさ、強い肯定。俺がナイトフライトに連れて行ってやるぜ!ってくらいな、潔さ。
月までは行けないことは知っているそれでも強く自転車を漕ぐ
日食は白いリングでしめされて果たせなかった約束がある
シャッターを押すの見たことないけれど君のニコンは首飾りかい
・・・ややニヒルなくらいなのに、厭世感はあまりなくて。ナイトフライトの通り、スリルもドラマ。くらいの男らしさも感じました。
雲のない都心の空が映される暗いニュースとニュースのあいだに
東名はどこか寂しい響きだね 別れに向かい僕らは走る
電線は白紙の譜面(スコア) 郊外の町はいつも通り静かだ
星々の消えゆく朝にクレーンは少しかたむく虚空を指して
…ネットなどの情報ではシティポップがお好きで、映画、写真もやられていた様で…印象的で、フォトジェニックな光景が浮かびます。こう、魂の擦り切れる様なヒリヒリ感を吐き出すスタイルよりは、写真の様に美しい光景を切り取って詠んでいる様に感じます。それで力強くて、肯定的な世界観が生まれるのかな。などとも思いました。
発行日が12月24日というのも出来すぎです!レッツ、ナイトフライト!
ほんと、かっこよくてさらわれるかと思いました。
皆さま、お手にとってご覧ください!